フルトラデスビの修理[NEW]


フルトラデスビが壊れた、接続ミスか他の要因でスイッチングしなくなり、修理を試みる事に。

正式な名称は「ルーカス65Dフルトラデスビ」です。「ルーカス65Dデスビ」というのもあます、フルトラが無いポイント式です。
ほとんどの部品が共用部品で互換性がありますが、アンプ基板ユニットが取り付く部分は互換性が無いため、実際はデスビキャップとデスビローターぐらいしか共通ではありません。

私が考えるに、これフルトラとは言っておりますが、この構造では実際はセミトラという分類になるのではないでしょうか?
機械接点のポイントが無くなっただけで、プラグへの4気筒分の高圧のスイッチングは、デスビロータの回転に合わせて、デスビキャップで切り替えています。
この部分の切替も無接点(半導体)によるスイッチングを行って初めて、フルトラと言うのではないでしょうかねぇ。

だけど電位が高いので、コイルを4個用意してスイッチングした方が現実的かもしれませんね。


左上が、ルーカス65Dフルトラデスビ 右上がルーカス65Dデスビ(ポイント式)


以前から仕組みについて気になっており良い機会なのでバラしてみる、下記が主な構成部品です。


(左上図)アンプ部を取外し (右上図)数カ所にLucasの文字が...




その結果次の事が判明
  1. 回転検出メカ部
    いわゆる、エンジン内部の回転をデスビ本体の先の回転軸にから検知する部分、機械式でもフルトラでもこの部分の構造は変わっていない。
    図の手裏剣の様な切り立った先端が、次項の「回転検出部」のコイルと付設した磁界プレート間をエンジンの回転に合わせて回転する事により、磁界がON- OFFされ電力が発生します。
    1回転で4パルスです。

  2. 回転検出部
    上記の軸の回転部をアナログ電気パルスに変える部分。


    (左上図)デスビロータ取付け側 (右上図)メカ部との取付け側

    構造はカンタンである、右上のピンクの丸い部分にはエナメル線によるコイルが巻いてあり、2本の端子が出ている、水色の部分の金属が磁石となっており、こ のピンクと水色の間の磁界のバランスが可変すると、このコイルの2本の配線に電圧が変化する、一般的なテスターの電圧レンジで確認することができる電圧を 発生する。
  3. 進角度可変調整部

    エンジンの回転数によって点火時期タイミングを調整する機能、回転検出部に付設されている。
  4. アンプ部
    上記のコイルからのアナログ電気パルスをデジタルパルスに変え、イグニッションコイルの1次側のスイッチングを出来る出力を得る部分。


    メカ部には2本のビスで止められている。コネクタは2極で固定はピアノ線ホルダで固定されており、カンタンには脱着出来ない様になっている。


    本体とアンプは2極のコネクタで接続されている。


    アンプ部本体はアルミスリーブで組たたられているが、ピン抜き等で脱着が可能。
    内部の基板は防水ジェルで満たされており、水分による錆びや腐食/漏電から回路を守る。



    外された、アンプ基板部、ハイブリットICプロセスで構成されている、基板はセラミック基板ででパワーデバイス(おそらくトランジ スタ)はアルミヒートシンクにボンディング接続されている。

    調べた所、メカ部は単純正解な構造でなるほど....と理解できたが電気的な部分はよくわからない。
    インターネットの世界「どこかに回路図や参考資料が無いかなぁ」と調べたが意外と無く自分で解析する事とする。

    これまでで分かっている事は、下記の情報しか無い。
    白線=(+12V イグニッションから抵抗無しでダイレクトに)
    白黒線=(ー)
    白黒線は直接コイルの(ー)に接続でも、ノーマルデスビの配線に付いていた配線につないでもどちらでもいいです。
    ※デスビを外した時点で、点火時期は必ず合わせなければ、エンジンが正しい回転を行えません。



回路解析について

さて回路基板が載ったアルミプレートを見ると、セラミック基板が2枚装着されている、小型の方はパワーデバイスで恐らくは数Wクラスのトランジスタが載っ ている、そこからもう一枚の大きい方の基板は、旧モトローラ社のTY93014という2.54mmピッチの標準DIP規格のICが載っており、その周辺に は数個のコンデンサと抵抗が配列されている。

手っ取り早くこのICの規格データを調べたが1980年台のICでデーターの入手は出来なかった。
ただ、このICの周辺の部品からおそらくではあるが、IC自体の機能は想像がつく
  1. 回転コイルからの電位の変化を入力して電圧等の波形成形やを行う部分が必要と考えるとオペアンプ回路が必至である。
  2. 当然オペアンプの出力は入力の波形と基本的には同じなので、もう一段アナログ波形をデジタル出力にするコンパレータ回路もありそうである。
  3. もちろん最終的なパワーデバイス(スイッチング素子)をドライブ出来る電流も必要だ、おそらく経験では50から100mA程度は必要だろう。
  4. また一般的なオペアンプはプラスマイナス2電源だが、自動車用と言う事もあり単一電源で12V以上の耐圧が必要である(具体的には定格で+18V以上はは必要であろう)
  5. デスビ自体は接続配線2本であるが、ケース自体はボディーアースされているので実際は3線と考えてよいオープンコレクタであろう。
  6. ドライバ回路にて最終的には数Wのスイッチングが必要である、電圧は車両用と言う事で20V以上あればよく余裕も持って50V以上であろう、電流値はコイルの1次側の電流値である,現時点では資料は無いが5A程度で可能か。

点火系の回路図の再確認

ここでコンタクトポイント方式の基本回路を表します、実際のMINI1000はこの回路となります。




非常にシンプルな回路で、よくポイントが弱いと言われますが、この部分の定期的な交換メンテナンスで性能を維持する事が可能ですが、さらに水滴等により電気のリークで正しい発火が出来ない等のトラブルがありフルトラが推奨される事となります。


MINIのデスビ(コイル)に流れる電流値の測定

とここで疑問が生じて来た、具体的にいうと2点である、イグニッションコイルであるがいったいどれくらいの電流が流れるのであろうか?早速調べてみた。

但しこれには解決しなければならない問題が残されている、1000ccはイグニッションコイルに接続された、白地にピンクのラインが入った配線に、バラス ト抵抗が入っています。このケーブルはコイルへの+ 12Vを供給する為の物です。 よく見るとRESISTIVEとケーブルに印刷してある「抵抗」と言う意味である。抵抗が入っていると言う事だと思っていましたが、配線を全てバラしまし たが入っていませんでした。



手持ちのアンペアメータが役立った、このメータは意外と精度が高い5Aまで測定出来る、勝手な予測に反して予想以上の大電流である結果は次の結果となった。

エンジン停止時 = 3.8A - 4.0A
エンジンアイドリング時 = 2.8A
エンジンの回転数を上げると2A程度まで下がります、計測を終えて考えてみたらちょうど良いメータであった事が解った。


上記の結果から解ったのは、結構な電流が流れていると言う事である、どうだろう一般的なノートパソコン2台分の消費電力に相当するという自分的には驚いた 結果となった、この事から、今回の回路のスイッチングトランジスタは予想以上の容量が必要であると判明、また常時2A以上の電流が流れる訳で、放熱もいい 加減に出来ない事解ったオン抵抗が少なく結果発熱の少ないトランジスタではなくFETも検討が設計に対して必要である。

また40年使われたのであろうこの配線の太さであるが、私が設計するならもうワンゲージ上の規格(太さ)にするだろうな...



ポイントの弱点は?

さてそれではどの辺が弱いかというと下記の回路図で、太い配線部分のラインが結構な電流を流すため、ポイント(接点スイッチ)が消耗して接触不良により、イグニイッションコイルに電流が流れなくなり、正常な点火電圧が出力されなくなります。



ポイントは単純な機械的接点ですし外気にさらされていますので、徐々に老化して行き接点同士が付いても通電しない等の状態になります。これがポイントの欠点です。
但し、その簡単な構造は、問題が起きたとき等原因を探す時には非常に判明しやすい特徴が上げられます。また、部品が破損しても何らかの応急処置が可能な点も見逃せません。

ところで、デスビに入ったコンデンサですが、ショート状態で壊れた経験が2度あります、全く火花が飛ばなくなります、この様な場合は応急処置として、コンデンサを外してしまいます。
デスビキャップ、デスビローター、ポイントコンタクト(コンデンサー付き)は常に車に携帯したい部品ですね、私はボロボロの中古ですが点火コイルも持ち歩いていています。


フルトラの利点は

上記の機械的な接点を無くして、無接点方式にする事により半永久的に使える様にした回路を搭載させる事にあります。
ポイントレスともいいます。

上記の回路図をさらに簡素化しポイント式とトランジスタ方式の違いを説明します、左下が回路図上の違いで、スイッチの記号がトランジスタの記号になっています。

 

右上の回路図では今回のルーカス社のフルトラの概念回路図となります。
接点が無いのですから接点不良はあり得ません、半永久的、高性能と呼ばれるのは、この辺からきています。

但しですが勘違いされては困るのですが、デスビのキャップとローター部は接点がある事となります。ただしですねこの分いずれにしろ高圧の為、さいわい少し ぐらいの接触不良でも放電現象できちんと通電されます、ここで放電して、プラグの部分で再度放電している様な現象が発生する可能性が大です。いずれにしろ よくよく見て頂くと解る様に、デスビキャップの4気筒分のコードを差し込む内側の金属接点部分と内部のローター部分の間隔は隙間があいており、 ここでも放電により通電しております。


どのように修理するか

オリジナルの回路図や部品の入手は困難であることと、アンプ部が入手で来てもその価格が2万円近いという情報から、出来るだけ外形は変えないで信頼性の高い回路構成を目指す事とした。

そこで考えたのは、次のコンセプトとする。
  1. 現行品の専用のICを使う
    一つ一つの機能を一般的な回路で構成すると、複数のデバイスを必要とする予感がするので、専用のICがないか調べてみると、面白そうなICが見つかった。
    東芝製で、品番TA8025PG/FGで、電磁ピックアップセンサーなどの出力信号を波形整形するICとある。下記が簡単な内部構成図である。


    コイルセンサをダイレクトにつなぎ、若干のコンデンサと抵抗程度で直接ドライブトラ ンジスタを駆動出来る内容となっている。
  2. ドライブ用のトランジスタは耐圧50V以上、エミッタ/コレクタ電流耐圧が5A以上とする(実際は3倍以上となる予定)
    必要に応じてMOS-FETも視野に入れる。
  3. 基板はオリジナルケースに収まるとうにする。(こだわりです)
  4. 万が一のため、予備の基板も作成しておく。


オリジナル回路図の設計

始めに設計範囲を絞り込みむ、また回路の基本となる配線や端子に番号を割り付ける、下記がその回路図となる。




上記に対して具体的な回路図を作成する、下記がその回路図となる。


上記の回路にて実験してみる、部品の入手でキーポイントなるのがTA8025PGと出力のトランジスタである、その他のコンデンサや抵抗は手持ちがあるのでそれを利用する。

私の場合この手の回路程度なら「ブレッドボード」を使って実験する。
電源は小型バッテリーがなぜが作業台にいつも乗っかっているのでそれを使用する、この手の実験には最適である。

とおもいきやこのIC入手が困難 > じゃもっとシンプルに考えよう

スイッチングさえすれば良いのだからという事で回路を考えてみる。ネットで何か情報が無いかなと探していたら、同じ事を考えている方がいらっしゃいました。
非常に研究熱心で...^_^;大変参考になります。

Right Stuff Wrong Stuff http: //www.soaring.co.jp/rwstuff/rwstuff.htm


部品の最終選定

とにかくドライブ用のトランジスタは耐圧50V以上、エミッタ/コレクタ電流耐圧が5A以上とし、必要に 応じてMOS-FETも視野に入れる。
という事になるのだが、実際のは耐圧は平均的な素子パッケージ損失からのこのアンペアだと100V以上耐圧で電流は10A以上でしょう。

ある意味放熱に限界があるのではと感じ始めた、理由はエンジンに直についているデスビなので、夏等は結構デスビ自体が熱を持つ5A近い電流をスイッチング (ON-OFFを行うと言う意味)では素子自体の電流容量は3倍程度が好ましいと今までの経験で感じた。

手持ちの素子は下記ですが、微妙な感じですので別途購入が良いかなと考えています。
2SC3281(CE間電圧VCBO 200V,EB間電圧5V,コレクタ電流 I C 15A,ベース電流 IB 1.5A )東芝製(何とか使えそう)


FETが断然よさそうなので部品を入手開始、何と言ってもパワー素子の確保です、下記を数個入手(秋月通商にて購入)

2SK3192 パワーMOS-FET パナソニック Nチャネル (在庫薄で1個のみ購入)
VDSS=250V,ID=30A,PD=100W,RDS=68mΩ
 

2SK447 パワー MOS-FET 東芝 Nチャネル(2個購入)
Vdss=250V,Id=15A,PD=150W,RDS=0.24Ω
フリーホイリングダイオード内蔵

 回路実験開始!


Right Stuff Wrong Stuff
http: //www.soaring.co.jp/rwstuff/rwstuff.htm を参考にさせて頂いて下記で実験に入った。

スイッチングはOK!、ルーカスフルトラデスビのアンプ基板に何とか納める。
さらに近接センサを入手したのでそれでの動作も確認してみる、どう考えても正常に動作しそうだ、ルー カス65Dデスビ意外でもMINI1000でおなじみの45Dや59Dでも若干の加工で可能である様 子を見て実験してみよう。







     

All the informations on my Homepage is provided in Japanese only. Presented by Satoru Kaneko,1999